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熱気あふれるおとなの学び場「ラーニングバー」

去る9月29日、東京大学教授 中原淳先生が主催するラーニングバーに参加しました。ビジネスパーソンを対象とした勉強会で、200名の枠に800名が応募するほど人気の企画となっています。今回、運よく抽選で当選し、250名まで広げた枠になんとか入り込めたようです。会場は東京大学の本郷キャンパスにあるFUKUTKAホール。

中原淳先生はまだ30代半ばですが、社会人教育の分野では非常に著名な方で「大人の教育を科学する」をテーマに様々な研究や活動を展開しています。つい先 月は、ハーバード大学の白熱教室で有名なマイケル・サンデル先生が東京大学の安田講堂での講義したときも、企画と運営にかかわっていらっしゃいました。


サイバーエージェントの人材マネジメント

さて、今回話題の「ラーニングバー」と人気の中原先生を目指して参加し、実は、誰が講師かはあまり意識していませんでした。油断してました。講師のサイバーエージェントの取締役であり人事本部長も担当する曽山哲人氏の話が本当にとっても面白いのです。

曽山氏は某有名百貨店で勤め、その百貨店のEC事業で男性物の大きいサイズの洋服を販売してヒットしたという経歴があります。そこからネットに関心を持ち、1999年にサイバーエージェントへ入社。当日社員はまだ20名だったとか。

ネット業界で急成長したサイバーエージェント。グループ社員1800名、サイバーエージェント単体では800名で平均年齢は28歳と若い会社です。会社が成長していく過程で、退職率が年間30%に及ぶこともあるなど、人事のいろいろな課題ぶつかります。曽山氏はそれに対し、藤田社長の意図をくみとり、チームで知恵を絞りだしながら、次々に改善や新たな提案をしていきます。

大きなゴールから考える

最初の曽山氏のメッセージは「人事制度は大きなゴールから考える」。サイバーエージェントの経営陣の中では、「ビジョナリーカンパニー」や「ドラッカー」の経営書が読み込まれています。特にドラッカーの言う「求められている経営の成果は何か?」ということを基準にしてビジョンに掲げた「21世紀を代表する会社をつくる」を基点に考えていったといいます。

社内には、人事におけるさまざまな矛盾が発生します。社長は風土づくりに試行錯誤しているが、現場に伝わっていない。「仕事が楽しい!」と考えている生え抜きがいる一方で、「こんなの会社じゃない」と考える転職組がいるなど。これらの矛盾が対立している限りは、働くメンバーのモチベーションは下がり、退職する率が上がります。対立した考えは戦わせずにセットにする。両方実現するにはどうしたらよいか、と考えるようにしていったそうです。例えば「競争と協調」活躍者が盛り上がる文化を大切にしつつ、お互いの成果を褒め合う。

上場して3年後の2003年、役員合宿で人事を強化することが決定します。ビジョンの明文化、価値観や行動規範の明文化、新規事業支援、部活動支援制度などをスタート。そして2005年に「人事本部が設立し、曽山氏が本部長に就任します。

コミュニケーション・エンジンとしての人事部

人事部の役割は何か。経営陣の言葉を社員にそのまま伝えることではなく、また社員の意見を集めて単に経営陣に渡すだけではない。経営陣の考えをわかりやすく現場に伝え、現場の声から「本質を見抜いて」経営に提言する「コミュニケーション・エンジン」の役割を果たしていく、というのが社内で徹底的に議論した結果でした。

曽山氏を中心とした人事本部はいろいろな仕組みを提案していきます。そのときに、注意しているのが「その新しい人事制度、現場の社員は白けないか?」ということ。例えば、やる気をおこそうとして単に厳しい評価制度を導入しても、現場の感情としては乗ってこない。すべての人事制度は流行らないと意味がないので、「求められている経営の成果」を実現するかどうかを前提にし、中原先生の言う「意図を隠して成果を求める」という仕組みづくりを工夫していきます。

例えば、部活動支援制度は、料理部やテニス部、ヨガ部などを通じて、他部署の先輩・後輩との接点を増やすします。これが、実は単に娯楽だけではなく、仕事に悩んでいる社員にマネージャー層が気付き、サポートできるので、退職率を下げることに貢献しています。また、会社の最寄り駅からふた駅以内に住んでいる人へ3万円を支給する家賃補助制度は、近所に仲間を増やし、飲みの交流が増え「安心」を増やしました。

人事制度は「作って終わり」ではなく、「改善しつづける」ながら、経営陣と一枚岩になり、21世紀を代表する会社づくりにこれからもがんばっていきます、と曽山氏は最後にしめくくりました。


ラーニングバーの様子

大人の学びは食から、ということで、ラーニングバーは会場に軽食(サンドイッチやおにぎり)やビールが用意されています。今回は季節感をだすということで、ススキやモミジがディスプレイされたり、従来サンドイッチだけだったのが、おにぎりやきのこのソテー、栗の和菓子などが用意されていました。

参加者同士のコミュニケーションの誘導も上手く、開始前に名刺交換をするよう、主催者の中原先生がよびかけたり、休憩時間は3チームにわかれて席が遠い人とも交流できるような仕掛けをしていました。3回目の休憩時間には、学生が食堂に集まっているかのように200名以上の大人が賑やかにわいわいおしゃべりをしていました。キャストといわれる大学院生の運営スタッフは、カフェのスタッフのように、統一感のある白いシャツとカフェエプロンをつけ、おもてなしをする体制万全でした。彼らも人懐っこく楽しそうに参加者との会話を楽しんでいました。


曽山さんの講演が非常におもしろいのはもちろん、それをファシリテーションする中原先生の最後のまとめも素晴らしく、明るいキャストのみなさんになごまされ。会が終了した後も興奮冷めやらぬ参加者がtwitterで感想をつぶやいたり、そのままアフターラーニングバーとして場所をかえて議論を続けていました。

ちなみに、当日名刺交換した方は、JR、大林組、カルチャーコンビニエンスクラブ、富士通、GMOなどよく名前の知られている企業につとめる人ばかり。曽山さんが最後のほうに、「名刺交換をした大企業の方から「挑戦」をする風土がないといわれました」と話されていたとおり、モチベーションが高くエネルギーあふれるこれらの人たちが、企業で思う存分パワーを発揮できたら素晴らしい活力になるのだろうな、と思いました。テーマ、運営、参加者などいろいろopnlabにとっても考えることの多い、ヒントの多いラーニングバーでした。

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