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下町の渋い居酒屋で1-2ヶ月に1度開催される食事会「鍋島会」。

たまたま同席した岡田仁志さんという人が、電子マネーやソーシャルコマース、そして投げ銭といった面白そうな話をしています。よく聞くと、国立情報学研究所で電子マネーを研究しているとか。

事業者側は代金回収の決済手段として、利用する消費者には交通機関や店舗で小銭をもたずに支払いができるツールとして、とても身近な電子マネー。そこで、岡田さんにopnlabの勉強会でスピーカーとしていきなりスカウトするとともに(よくある)、電子マネーのあれこれを聞いてみました。

 

電子マネーの魅力は?

 

小林:なぜ、電子マネーを研究テーマに選んだのですか?特に研究していて面白いポイントは?

 

岡田:1990年代後半、電子マネーは得体のしれない未来の通貨でした。本当にこんなものが通用する時代が来るのかと誰もが疑心暗鬼でした。しかもお金ですから、ICチップが壊れてしまったら、価値がなくなってしまいます。 

 

小林:今では壊れるなんて全く気にしていませんが、使い始めは不安だったでしょうね。そんな不安があったことさえも、すっかり忘れていますが。

 

岡田:大切なお金を載せているのに、なにやら得体のしれない技術を使っているのが、研究テーマとしてはぴったりでした。人は最先端の技術にふれたとき、どうやって不安を乗り越えて便利さを受け入れるのか、そこに関心があったのです。

 

小林:大蔵省とITベンチャーのコラボ的なギャップ感に惹かれたのですね。あ、今は財務省か。

 

岡田:まずは自分が実験台になってみようと思い立ち、1999年に新宿で実験の行われていたスーパーキャッシュを使って、「人は電子マネーだけで生活できるか」と題した一週間の生活体験をやってみたこともあります。今となっては、電子マネーだけで暮らすのはとても簡単なことですが、当時としてはすいぶんと無謀な試みでした。

 

小林:そこでどんなハプニングが?(と事件がおこる前提)

 

岡田:4日目に紛失しました。残高が数万以上残っているスーパーキャッシュを。

 

小林:え!実験中止ですか?

 

岡田:すぐ機能を止めた後、その日に行ったお店を訪ねたら、ありました。清算後にカードを戻し忘れてたのです。

 

小林:よかったですねー。

 

岡田:端末操作に慣れている店もありましたが、やはり上手く使えないお店も多かったですね。

ある居酒屋では結局使えず、つけにして、翌日の朝支払いに行きました。また、オペラシティの手芸店でハンカチを買おうとしたら、端末のロール紙が無くなってしまい、お店の人が他のフロアまで取りにいく間、店番をしました。

 

小林:(むしろ手芸店でどんなハンカチを買ったほうが気になりますが)何かを買うときは、使えなければその場でやめればいいですが、飲食店のほうは、すでに商品をお腹に入れてしまった後ですから、決済のときはちょっとドキドキしますね。現金を持っていないと。

  

電子マネー普及の4段階

 

小林:Suicaが2001年に導入されてから、もう10年以上も経ちます。その当時と比べて電子マネーはどのようにかわってきましたか?

 

岡田:Suicaは爆発的に普及しました。なんといっても、タッチするだけで改札を通過できるという便利さを人々が歓迎したことが最大の理由でした。

 

小林:そういえば以前、日本のクールなモノや文化を紹介するNHK の「Cool Japan」をみていたら、ある年のベストオブクールに「ICカード乗車券」が選ばれていました。日本にとどまらず、海外の人にも好評ですね。

 

岡田:ところがユーザはわがままですので、便利さにはすぐに慣れてしまいます。いちど便利さに慣れてしまうと、それは当たり前のことになります。もはや、不便な時代は思い出すのも面倒になるわけです。

便利さが当たり前になった頃、電子マネーで買い物ができるようになりました。Edyの登場です。

 

小林:最近、楽天Edyになった、Edyですね。

 

岡田:Edyは利得性をテコにした電子マネーの第一号でした。熊本の上通商店街でマイレージカードのEdyを使うと、ポイントがついてマイレージと交換できる、そんな利用法をすすめていたのです。 

単にポイントが貯まるだけではなく、距離を越えて移動する楽しみと電子マネーという新しい手段で買い物をする楽しみをマイレージというキーワードで一つのストーリーにしたところが絶妙でした。マイレージを貯めるために電子マネーを使った方も多いことでしょう。

さらに、2008年に登場した流通系のカードは、日々のお買いものでポイントを貯める楽しみを提供してくれました。

 

小林:貯まったマイレージで海外旅行に行ったり、席をアップグレードしたという話をよく聞きます。どうも私は大雑把でポイントを貯めるのが苦手で、そういう話をいつもうらやましく聞いています。

 

岡田:電子マネーの普及には、4つの段階があると思っています。それぞれ、異なるタイプの利用者をターゲットにしています。第1段階は、新しい製品が大好きなGeekのグループ。

 

小林:わかります。岡田さんのような。

 

岡田:第2段階は、性能を評価して便利だったら使うという合理的なグループ。第3段階に、何かおトクだったら使うというお買いもの上手のグループです。

では第4段階は何かというと、あまり新しい技術は好きではないのだが、それを使うのが社会的な約束ごとになっていたり、社会的に意味があれば使ってもよいというグループです。ポイントを寄附するとか、地域振興につなげるといった使い方がこれにあたります。

 

小林:先日お話しを伺ったとき、貯まったポイントが地元のお城の修復に使われるという仕組みにしたところ、その地域の電子マネーが一気に普及したというお話は印象的でした。

 

岡田:Suicaの登場から10年が経ち、一部の電子マネーはすでに第4段階の成熟期に差し掛かっているのではないかと見ています。 

 

小林:そして、第2世代の電子マネーの第1段階が目の前にきているともいえるのですね。

 

(オプンラボ 小林利恵子)

誠ブログで連載している「電子マネーにまつわる疑問」を転載しています]

 


[ご案内]

 opnlabでは岡田さんを招いて勉強会を開催

第2世代の電子マネー:ソーシャルコマースで変わる消費行動」(2月22日(水))

 関西出身の岡田さん。「電子マネー」について突っ込みをいれる友人をわざわざ遠方から招いて、演習も交えながら楽しくお話していただきます。

 

[スピーカープロフィール]

 岡田仁志

 http://researchmap.jp/hokada/

 

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