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トークセッションの作り方、モデレーターの楽しみ方

オプンラボ 小林です。高い専門性を磨いた異能な人=変人の方と話をするのが好きなのですが、そのすごい人を自分だけで楽しむのはもったいない。共有したい性分です。

  

このため、トークセッションのモデレーターをつとめるのは楽しくて仕方ありません。気になる質問を投げかけ、想定外の方向から返ってくる答えにワクワクします。

 

自分で勝手に楽しんでいるだけなのですが、その様子を「猛獣使い」と面白がってくださる人が意外といるので、トークセッションの準備やモデレーター役になる際に意識していることを、1/27にインディペンデント・コントラクター協会で開催したセミナー歴代の理事長3名が語る”飽きられない・陳腐化に陥らないための「次のビジネスの柱を考える」"をもとにまとめてみました。

 

目的は何か

何に取り組む場合も同じですが、そもそも何のためにトークセッションを開催するのかを最初に明確にします。

 

今回は、独立・起業に関心のある人に「次のビジネスの柱」のつくり方を共有することでした。そのためには、独立して10年以上経っているIC協会の理事がぴったりでした。さらに歴代3人の理事長はまったく違う業界で活躍しています。初代理事長の秋山進さんは某化粧品会社の企業再生にも関わったコンプライアンスのコンサルタント。2代目の田代英治さんは、長年勤めた海運会社を退職して、人事関連のコンサルタントとして独立。アパレルの流通コンサルタントである3代目の理事長 齊藤孝浩さんの『ユニクロ対ZARA』はベストセラーになっています。

  

この3名に得意分野に関する話を聞くのであれば講演形式でも良いかもしれません。しかし、1/27のセミナーは、ICとして活躍するという点では共通している3名から、仕事に対する姿勢や関心事について生の声が聞きたい。しかも少し予想外なネタが飛び出す可能性が高い。まさにトークセッションが適していました。

 

独立した人にとって、クライアントから飽きられる、さらには自分自身がその仕事に飽きてしまうという事態は避けたい。それを乗り越え、3人はどのように10年以上ICを続けてこられたのか。

 

そこで、出だしは3人が何者かを共有するためにプレゼンの形でキャリアヒストリーを短く話してもらい、次にトークセッションへ入り、仕事で大切にしていることや危機、陳腐化しないための工夫などを尋ねていきました。

  

 

事前に仕入れるパネリストの情報

 

私の場合、パネリストに面識のない人がいた場合は、事前にできるだけ会うようにします。企画の趣旨の説明をはじめ、今の仕事に関わりはじめたきっかけや起業の経緯、趣味などの雑談もします。これが結構肝です。どんな考えを持っているのか、何を大事にしているかなどを知っておくと、当日投げかける質問や議論の幅を広げやすくなります。

 

また、パネリストには、当日の質問案を事前に送付して、開催前に回答をもらいます。「独立のきっかけ」「独立直後の明・暗」「継続している背景」「将来実現したいこと」など。これらは、考え方の方向性を確認することができるので重要な資料となります。

  

今回は事前に会わず、メールを中心に連絡をとりあい質問に回答してもらいました。当日は流れを簡単に確認し、本番の温度が下がらないようあまり深く話をせず、早々に打ち合わせを切り上げました。話す3名とモデレーターの私が、すでにIC協会で交流があったのでこれで十分でした。けれども、フォーマルな会のときには、事前に目的の共有や進行の打ち合わせをきちっとしたほうが安全です。

 

  

シミュレーションして展開を吟味

 

準備としてさらに、パネリストから集めたプレゼン資料や回答の印刷物を並べて、質問をふるシーンをシミュレーションします。

 

例えば、「将来に向けてどのような勉強や情報収集をしていますか」と質問するシーンを想像します。次にパネリストの顔を思い浮かべその人があたかも答えているかのように回答文を読みます。そして、参加者の一部として自分はどう感じるかイメージし、次の展開を考えるのです。

 

これにより質問Aは前半にもってきて、質問Bは中盤過ぎたくらいに聞こうかな、と構成を煮詰めていくことができます。後から新たに質問を思いつくこともあるので、いざという時(時間が余ったなど)のために準備しておきます。

 

質問の数はいくつが最適か
  
テーマの性質や会の目的によって、同じ時間でも議論するパネリストに問いかけるテーマ、質問の数は異なります。ひとつのテーマでパネリスト同士が議論しあうほうが良い場合は、30分で大きなテーマを1-2問用意して、深掘りしていくような流れでもよいでしょう。

 

今回の参加者は、現在独立している、またはこれから独立しようとしている人が多かったので、「陳腐化しない」=「ICとして成功する秘訣」が一番のお土産になるだろうと考えました。そこで、テンポ良く各パネリストのノウハウをたくさん引き出すことを意識しして、45-60分に対して15問程度、質問を用意しておきました。
 

それにしても3人とも、話を聞けば聞くほど仕事が順調に見えるので現実味がありません。そこで急遽「ビジネスにおける危機はなかったのか」という質問を挿入してみました。すると田代さんから、家族の病気でキャンセルしなければいけない仕事があり、クライアントから損害賠償を請求された、という代替がきかないICならではの苦労を話してくれました。

 

さらに「ICにとって他にもどのようなリスクがあるか」という問いを投げかけた際、リスクマネジメントのプロである秋山さんがマイクをとり、「知識やスキルの陳腐化、人脈の陳腐化」と、回答をまさに今回のテーマへとつなげてくれたときには、思わず膝をポンと叩いてしまいました。

 

結論は事前に準備するか

 

トークセッションの「結論=落としどころ」も事前に考えておきます。ただし、これはパネリストと共有することもありますし、しないケースもあります。

 

今回は特に、既定路線で議論が進む退屈なトークセッションになることを全力で避けたかったので、ゴールについてはパネリストと相談しませんでした。
 
ゴールを考えておいても、議論の展開によっては違う方向に落ち着く可能性もあります。今回のお題は「陳腐化しないための新しいビジネスの柱を考える」。これに対して事前に考えていたのは「早めに情報収集などをして、全く違う分野とまではいかないけれども革新的なことを始めることで飽きられない」でした。

 

でも結局、想定していた結論とは少し違いました。

 

3人とも新たな情報収集も欠かさないのですが、さらに日々の仕事に誠実に向き合い、期待以上の成果を出し、情報発信を行うことで、自分のビジネスの延長上にある”少し”新しいことを着実に取り入れています。その結果、お客様から引き合いが絶えないのです。

  

モデレーターのコツをまとめようとしたところ、事前準備の比重が多くなってしまいました。
 
でも「準備」は本当に大事です。というのはとある対談のイベントの失敗経験でつくづく感じたのです。対談相手がプレゼン上手なことに安心してしまい、事前の打ち合わせをしないで当日を迎えたところ、話すテーマの基本的な知識が足りない、相手の興味の方向が正確につかめない、そして相手がねらう笑いのツボがわからないの三重苦。つらかった。

 

トークセッションは一方通行のプレゼンとは異なり、パネリスト同士が刺激しあって予定してなかった生の声を聴ける面白さがあります。でもその思いがけない発言も、準備があるからこそ。モデレーターがパネリストが持つ素材を掘り出すことができ、また参加者の一部となって「もうちょっとここが詳しく知りたい」「あれはどうなっているの?」といった思いの橋渡しをできるのです。

 

 

《参考》モデレーターのノウハウについては、下記の記事に詳しい

パネルディスカッションを成功させるためにモデレータがしなければならないこと(準備編)

パネルディスカッションを成功させるためにモデレータがしなければならないこと(本番編)

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