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勉強会レポート「日本郵政が仕掛けるコミュニケーション最前線」

3月2日のopnlabの勉強会レポートを、出版社で経営関係の雑誌編集をてがける松田潤子さんに寄稿していただきました。

 

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「日本郵政が仕掛けるコミュニケーション最前線」
講師:郵政事業株式会社 国内営業統括本部 切手・葉書部
eコマース室兼務 商品開発担当課長 西村哲さん

ここ数年、年末になると日本郵政グループによる年賀特設サイト「郵便年賀.jp」の、印象的なTVCMや街頭プロモーションを見かけるようになりました。このサイトに立ち上げから携わっているのが西村さんです。

 

■年賀はがきの存在意義

そもそも年賀はがきは、郵政事業の売り上げの約10%を占める主力商品。2007年10月に民営化で誕生した郵政グループが「変わったこと」を利用客にアピールする絶好の機会として、グループの横断的な組織「年賀戦略室」が生まれたそうです。

 

一方、利用客サイドから見れば、年賀はがきは、互いの無事を確かめあえる貴重なコミュニケーション手段であり、日本の伝統文化でもあります。このように「年賀はがきの意義」をあらためて問い直すことから、プロジェクトはスタートしました。

 

年賀はがきの発行枚数は、2003年度の約45億枚をピークにダウントレンドが始まっていました。活字離れに加え、パソコンメールや携帯メールという〝ライバル〟が出現したことも理由のようです。これらの背景にもとづき、2008年正月に向けて新たな取り組みが始まりました。

 

まずは「新しいカタチ」の年賀はがきを発行。幅広い年代に人気のミッキーマウスを印刷したはがき、人気アートディレクターの佐藤可士和さんによるデザインはがきのほか、「うぐいす色」「もも色」の色付きはがきも投入。ちなみに「もも色」はがきは、2011年正月用の売り上げが前年比で150%増と人気が高まっています。続いて街頭プロモーションを積極展開。六本木ヒルズへの巨大壁面広告などは記憶に新しいところです。

 

■ハードルは何か

さらに年賀状を「書く」ことへのハードルを下げるために、まずは「年賀状を出さない理由」を調査しました。

 

そこから浮かび上がってきたのが、ネットのコミュニティでつながりがあっても「相手の住所を知らない」「メールで済ましている」という実態でした。また、「もらって嬉しいはがきは?」という質問では、「手書き」を挙げる声が、特に若年層の女性で高かったそうです。

 「あけおめメール」のように新年のあいさつを電子メールで交わすことについては、抵抗感が伺える半面、電子メールが日常生活に不可欠になってきたことも事実。ならば、ということで年賀状とウェブの融合を狙って誕生したのが「郵便年賀.jp」でした。 


 

■「贈ってみたい」を行動化

特設サイトではそれまでウェブが不得手としていた「買いやすさ」「書きやすさ」を考慮。年賀はがきのネット販売サービスでは、配達社員が最低5枚から届け、決済も現金で行いました。これは利用者に喜ばれると同時に日本郵便側のフロントラインの販売実績にも貢献しました。コンテンツには宛名印刷までできるはがきデザインソフト「はがきデザインキット」を無償で提供するなど、「贈ってみたい」を行動化させる便利なツールを豊富にラインアップ。手作りはんこ作成ツールも好評を得ました。

 

2011年用で評判だったのが「今年の一文字」。年末恒例の「今年の漢字」にヒントを得たコンテンツで、ツイッターIDでログインすると、2010年1月1日からその時点までで一番多くつぶやいた漢字を抽出、その一文字を年賀はがきの素材として利用できるというユニークな内容です。このコンテンツはツイッターで大ブレイクし、50万ツイートを記録したそうです。
 

■ウェブサービスとのコラボ
また、リアルの住所がわからないという問題の対処策として、2年目の新サービスとして「ミクシィ年賀状」が誕生。会員数約2000万人以上のミクシィですが、その会員構成は20~34歳が約7割。西村さんたちがリサーチで把握していた、リアルの年賀状を出したい層と一致していました。

 

これに加え、郵政とミクシィという〝対極〟の会社同士がタッグを組むと発表すれば、メディアへのインパクトが大きいと予測。結果は思惑通りで、初年は70万枚、その後も110万枚、120万枚という実績を作っています。今では「ミクシィ年賀状」のほかにも、メールアドレスから年賀状を送れる「ウェブポ」、Yahoo! JAPANのサイトから年賀状を送れる「ネットで年賀状」などのサービスも展開しています。

 

■好調に推移している利用実績
こうした工夫の甲斐あって、郵便年賀.jpの利用実績は1年目から約1億PV・約760万訪問を達成。2年目は1.3億PV・約1072万訪問、3年目は約1.9億PV・約1530万訪問と好調に推移しています。

 

ウェブと年賀状のコラボレーションを経験するなか、西村さんはこの2つはかなり親和性があることが分かったと打ち明けます。日常的なウェブ上でのコミュニケーションにおいて、時にはアナログな方法が受けることがあります。工夫次第ではもっと「新しいカタチ」を作れるはず、と西村さんはさらなる期待で胸をふくらませています。

 

(文章 松田潤子)

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