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ワケありが読みたい・みたい〜放送作家と語った復刊コンテンツ

テレビなどのメディアで話題になり、絶版本が注目を集めるケースは少なくない。ただしタレントなどが関わると、著作権などの関係で復刊が厳しいことも多い。放送作家の山名宏和氏と復刊ドットコムが、トークセッションで、「メディア」をきっかけとした復刊のリクエストや、復刊が実現する、もしくは実現しない背景などを中心に語った。

 

***

 

岩本:復刊専門の出版社である復刊ドットコムは、2000年に設立以来、5万点の復刊のリクエストを受け、これまで5000点もの復刊に携わってきました。

 

最近では「小説出光佐三」を復刊ドットコムで復刊しました。百田尚樹氏の「海賊と呼ばれた男」と同じ人物にフォーカスして書かれている古書があったということで復刊のリクエストが集まった本です。

山名:百田尚樹さんは一時期ワイドショーや週刊誌でよく話題になったので、それを見た人がいろいろ調べるうちに、探し当てたのでしょうね。

 

岩本:ベストセラーの中に登場した本も復刊しています。「ビブリア古書堂」にでてくる「たんぽぽ娘」という小説です。ドラマ化され、その中でも登場したのが大きかったですね。

 

山名:有名なSFの短編小説ですね。「たんぽぽ娘」は私も高校生の頃に読みました。タイムトラベルもののラブストーリー。日本でいうと「時をかける少女」でしょうか。「たんぽぽ娘」というタイトルも親しみやすかったのでしょう。芸能人が本を紹介して売れるというケースはたまにありますが、ドラマで紹介されて火がつくというのは珍しいと思います。

 

岩本:SFつながりでいうと、80年代のジャガーバックス「宇宙怪物(ベム)図鑑」も復刊しました。海外のSF小説にでてきた宇宙人を宇宙怪物と称して、挿絵なども交えて紹介しています。

 

山名:子供の時に買った人が、もう一度手元に置きたくなるのでしょう。SF好きの人は所有欲も強い人が多いからですからね。カラーページも多く、凝った造りの本ですよね。本で紹介されている作品の多くは50~60年代のアメリカの名作SF小説を題材にしたものです。しかもSF作家/翻訳家として有名な小隅黎さんいう著名な方が監修していますね。

 

番組企画とタレント本

 

岩本:メディア関係でいうと「野猿」の本のリクエストが常に多いです。「とんねるずのみなさんのおかげでした」という番組の企画で生まれたグループの本です。特に、2011年は解散(撤収)10周年ということで、復刊リクエストが集まりました。

 

山名:この本は関わっている人が多いので復刊するのは大変でしょうね。タレント、事務所、テレビ局、企画者などに許諾を得ないといけない。野猿以外のタレントも、本に登場していますしね。

 

岩本:やはりそうですか。同じテレビ企画でいうと、実は「カノッサの屈辱」の本は復刊できたんですよ。フジテレビにもちかけたところ、一度断られたのですが、数年後に出版できることになったんです。

 

山名:「カノッサの屈辱」は1年しか放映していないのですが、伝説的な深夜番組ですよね。「教授」が商品のマーケティングの話を解説するという番組。出てくるのがタレントではなく、ほとんどが商品なので、スムーズに復刊できたのでしょう。

 

岩本:北海道の人気番組「水曜どうでしょう」の写真集が2巻ともリクエストが多いです。一度、2巻だけ復刊はされたようですが、発売中止となってしまいました。

 

山名:何か原因があったのでしょうね。テレビでも再放送できない、というケースはよくあります。その時は気づかなかったけれど、法的な瑕疵があって再放送できない番組。例えばですが、鳥取砂丘の砂を持って帰るといったシーンを撮って放映するのはNGです。国立公園なので砂を持ち帰ってはいけないからです。

 

岩本:テレビ関係でいえば、太陽に吠えろの「七曲署シリーズ」の写真集の要望も多いですね。七曲署シリーズの1位はスコッチ刑事を演じた沖雅也さんの写真集で、Amazon  のマーケットプレイスでは6万円を超えてます。2位が山さんなのですが。

 

山名:渋いですね。2位は露口茂さんですか(笑)

 

岩本:沢田研二さんの「水の皮膚」という写真集は、705票も集まっています。パルコ出版から出版された写真のクオリティも高い豪華な一冊で、女性かと思うような美しい写真が載っています。これも復刊が難しいかもしれませんね。

 

山名:そうですね。でもその人気はわかります。今、活躍している40代、50代のアーティストで、沢田研二さんを尊敬している人は多いからです。

 

私は「TheCovers」というNHK-BSプレミアムの番組の構成に関わっています。アーティストが他の人の楽曲をカバーする番組です。ここで沢田研二さんの曲を歌いたいと言う男性アーティストが多いんですよ。彼らの発言を聞いて、リアルタイムで見ていない若い世代が、ネットで検索して、復刊ドットコムにもたどりついているんじゃないでしょうか。

 

岩本:他にも復刊の働きかけをしている本として、ラーメンズのオリジナル「かるた」があります。ネタをカルタにし、解説本がついています。これも復刊リクエストが多い。

 

山名:芸人さんの中には、お金を払ってみたい芸人さんと、そうでない芸人さんがいます。例えば、さまぁ~ずはよく深夜の番組で出ていますが、番組をDVDにしても売れるんですよね。ラーメンズはお金を払いたい芸人でもあるし、今は二人で活動をしていないという意味でも貴重なのでしょうね。

 

冤罪の自費出版

 

岩本:テレビがきっかけだと思われる「冤罪」を扱った自費出版の復刊リクエストが集まっています。「現場刑事の告発-二俣事件の真相」。一家4人惨殺事件の元担当刑事である山下平八さんが、真相を追求していくという内容です。アンビリーバボーという番組で、この事件が取り上げられました。

 

本を探しに自費出版図書館に行ったのですが、3時間近く棚を探しても見つかりません。最後に図書館の方に聞いたら「ここにあります」と引き出しからだしてくるのです。人気があるので取られないように確保しているとのことなんです。これはまだ復刊はできていません。

 

山名:想像ですけど、番組を企画する人が、このニュースに行き当たり、調べていく中でこの本を見つけたのではないでしょうか。テレビでは詳しい情報を調べるリサーチャーという役割の人がいるので、その人が図書館へ行ってその本をコピーしたということも考えられます。この1冊があれば番組が作れますから。

 

夢の黄金伝説

 

岩本:埋蔵金の本にもリクエストが集まっています。大地震のために、一夜にして城が崩れ、人も財宝も埋まってしまったと言われる黄金の城「帰雲城(かえりくもじょう)」。でも最近、埋蔵金の番組ないですね。

 

山名:昔の番組でさんざん企画したけれども宝が出てこなかったからでしょうね。最近の視聴者はせっかちなので、昔みたいに「今週も出てきませんでした」、という結末だと怒ってしまいます。でも本当にあったら面白いし、夢がありますよね。

 

岩本:わくわくしますね。

 

ご紹介する本は以上ですが、山名さんから何か質問などありますか?

 

山名:復刊の目安はリクエストが何件からなんですか?

 

岩本:100件ですね。100件集まれば、ある程度の数の販売が予測できるので動き始めます。

 

山名:実は、復刊ドットコムさんで2冊買ったことがあります。

 

「ワンダー・AZUMA HIDEO・ランド」と「マジカル・高橋 葉介・ツアー -高橋葉介初期傑作短編集」これは、復刊というよりは新刊ですよね。オリジナル短編集で、単行本には収録されていない作品がまとめられています。こういうのがマニア心をくすぐります。SFだと小松左京や筒井康隆なといった人の、作品はあるけど、本として残っていないものを出してもらえると嬉しいですね。

 

岩本:ありがとうございます。これからも要望のある本をより多く復刊できるよう、がんばってまいります。

【了】

■参考

・復刊ドットコム https://www.fukkan.com/

絶版となった本の復刊をリクエストするWebサイト。数が集まると復刊にむけて働きかける

・復刊オープンマーケティング https://www.fukkan.com/publisher

復刊ドットコムに集まった復刊リクエストのデータを、全ての出版社を横断してみることができるデータサービス(使用料 1000円/月)

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